研究テーマ

研究テーマ:概要

アルゴリズム設計論講座では,情報科学における数理的研究,特に「理論計算機科学(Theoretical Computer Science:TCS)」と呼ばれる分野での研究活動を行っています.理論計算機科学は,様々な問題に対する計算法の原理を「数学的に証明可能な形で」解き明かすことを重視している分野で,コンピュータサイエンスの様々な応用分野を支える理論的な支柱として重要な役割を果たしています.より具体的には,

  • 計算機が取り扱いたい様々な現象・問題に対して,適切な数理モデル化・定式化を考える
  • 定式化された問題を実用的,効率的に解くためのアルゴリズムを考案して,その理論的な解析を行う
  • アルゴリズムや計算モデルの理論的な性能限界を解明する
  • 多様な対象に跨る共通の問題や困難性を見出して,それに対する普遍的な解法を考える

といった研究を,様々な対象に対して行っていきます.

アルゴリズム設計論講座ではどんなことを研究しているか?

理論研究であるがゆえに,実システムの設計や,社会実装といった応用的な研究とはどうしても少し遠くなりがちですが(行わないわけではない)その分,多様な現象や応用先を研究対象とすることが出来るという魅力もあります.例えば,理論計算機科学分野における代表的な国際会議などでは,スコープ(その会議が受け入れる研究対象)として,以下のようなキーワードが並んでいます.

データサイエンス (Data Science),符号理論 (Coding Theory),最適化(Optimization),計算幾何学(Computational Geometry),データベースと情報検索(Database and Information Retrieval),分散並列処理(Distributed and Parallel Computing),データ構造(Data Structure),計算論的生物学(Computational Biology),計算論的経済学(Computational Economics),ゲーム理論(Algorithmic game theory),量子計算(Quantum Computing),グラフアルゴリズム(Graph Algorithm),近似アルゴリズム(Approximation Algorithm),オンラインアルゴリズム(Online Algorithms),機械学習(Machine Learning),論理学(Logics),暗号とプライバシー(Cryptography and Privacy),ネットワーキング(Networks),実験的アルゴリズム(Experimental Algorithms)...

これらのキーワードを見ても,かなり多様なシステムや分野が研究対象となっているとが分かると思います.本講座の研究も内容は対象は多岐に渡っており,また,研究室に配属された学生の皆さんも原則として自分が興味のある対象をテーマとして研究してもらっています.一方で,単に手広くやっているというだけでなく,特に以下に挙げるような分野はストロングポイントとしてかなりインパクトの高い成果を上げています.

  • 分散・並列計算
  • 自律分散ロボット群の数理
  • グラフアルゴリズム
  • 計算困難問題に対するアルゴリズム

また,ストロングポイントとまでは言わないものの,最近は機械学習,ゲーム理論,量子計算,プライバシーといった関連分野における理論的研究にも取り組んでいます.